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Only you……番外編
第9章 見舞い

突然何の話しか分からず、私は首を傾げた。頭上には見えないクエスチョンマークが浮かんでいたことだろう。

「秘書……やるよ」

にんまりと微笑みながらそう告げた。なぜ急に考えを変えたのか、私には全く理解できない。

「な、んで? なんで急に?!」

透真に掴みかからん勢いで、私は身を乗り出した。

透真は少し後ろに引き、驚いた顔をした。

「なぜって……うーん。社長に、色々聞いたんだ。そしたら気が変わった」

「色々って!?」

「貴正の努力とか。そしたら僕はどうして社長になりたかったんだろうって、思ってね」

私は唖然とした。そんなに簡単に人の気持ちなど変わるものなのだろうか。

「あ、これお見舞い」

鞄からみかんを1つ取り出すと、そう言って渡してきた。手が一瞬触れ合って、私はぴくりと反応した。

「どうも」

「ちょっと少なかった?」

首を横に振る。食欲のない私には丁度いいおやつだった。

「良かった」

にっこり笑って、「じゃあ」と言うと、透真は帰っていった。


みかんは甘酸っぱくて、何だかほっとする味だった。
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