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やさしいキスをして?
第10章 番外編


『マドカ…』

『だけど…行くんじゃなかった…ひっく…応援、行くんじゃなかったよぉ…』


バカみたいだったの。何日も前から浮かれて準備して。初めて見せる私服だからって、気合も入れてね?一人だけ、バカみたいに舞い上がってたのに…


「岩本のことを好きだってこと、ちゃんと知ってます」


今まで誰にもバレなかったようなことだよ?そんな、つまんない昔の失恋なんか見てきたくせに…


『なんで全然、見てくれないのぉ…?』


ひどいよ。ちゃんと私を見てよ。
あの時だって…


「僕は中学の時からずっと…!」


“好きだ” って言って欲しかった。
だって私…いま私は…


俯いていると、あさひが頭を引き寄せてくれた。よしよしと撫でてくれる手のひらに安心して、次から次へと涙が零れる。熱が頬を伝ってゆく度、実感した気持ちは…


三島くんが、好き。




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