この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて夢の中だけでも
第39章 一生俺のもの。
「ちょっと!」
私が止めにかかると
その横で夏輝さんは笑っている。
「お熱いことで」
「もうっ…すいません。」
良いよだと片手を上げ私に笑う。
「兄貴、俺結婚するから…」
「そうか。そりゃ。おめでとうだな」
「式…きてくれる?」
「もちろん。」
ホッとした顔を見せた秋雨を私は見逃さなかった。
そうだ…秋雨には両親がいない。
だからやっとお兄さんに会えて嬉しいはずだ。
「ごめんな、秋雨。少し忙しいんだ。
また会おう。これが、俺の連絡先だ。」
そう言うと夏輝さんは仕事に戻っていった。
「凛ちゃん…ありがとう。」
「私は何も…それなら沙織ちゃんに…」
「次は…凛ちゃんのご両親だね。」
秋雨が目を細め私の髪に手を伸ばす。
その手に、そっと触れる。
私は…幸せ者なのだと実感する。
毎日、秋雨に恋をしている。
もう片思いだと悲しむこともない。
そして、秋雨にも悲しい思いはさせない。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


