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せめて夢の中だけでも
第38章 知らないあなたも私は知りたい。
そらから二人でベッドに転がって
秋雨の腕枕をしてもらいながら過ごしていた。
「ねぇ?仁さんとの事教えてよ。」
「やっぱり、聞きたい?」
「うん。」
しばらくの沈黙の後、秋雨はユックリと話し出した。
「仁さんと俺が出会ったのは10年前。
高校も休みがちで…夜中ほつき歩いてた頃。
……その日泊まる家を女を見つけて確保してた頃。」
「ふーーーん。」
「だから…嫌われるって言ったよ?」
「続けて。」
「もう…。
仁さんに街で声を掛けられた。
その時は仁さんもどっかの店でボーイしてたよ。
俺もその店にスカウトされて
仁さんの下で働いた。」
「もてたでしょ?」
「もちろん。」
秋雨が、意地悪く笑う。
「でも、仁さんの家にいたから
女探しはしなくなったよ?」
「………嬉しくないんだけど。」
ハハッと私の髪を触りながら秋雨は笑った。

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