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せめて夢の中だけでも
第21章 晴れのち雨
「秋。そろそろ開けるぞ。」
「あっ。仁さん…」
「良いの!秋雨っ。大丈夫だから…」
秋雨がしようとしている事はなんとなく解っていた。
私なんかのために…この店に穴は開けられない。
秋雨がカウンターに置かれている私の手を
ギュッと握った。
「凛ちゃん。一人じゃないんだよ?
俺…そんなに頼りない?」
私の顔を覗き込むように背を屈めて
微笑む秋雨。
「違うの…。ごめん…秋雨。」
俯くことしか出来ない私に
秋雨の手は優しく頭を撫でてくれた。
「隼人君、呼ぶ?」
「えっ。何で…!」
「ホラ。俺…送っていけないから…
まだ隼人君なら頼めるから。」
「あっ…ううん。平気。
1人で帰るよ」
仁さんが外に出て行き
外の札をOpenへと変える。
私は1人、店の外に出た。
携帯電話を取り出すとさっきの不在着信を知らせる
緑色のランプが、点滅していた。

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