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Only you……
第3章 麻都 2

突然俺の髪に何かが触れる――。
「分かったよ……だから、そんな悲しそうにするな……」
俺の前に明がしゃがみ込み、髪を撫でていたのだ。
俺は「へへっ……」と笑った。
「ごめん、こんな頼りなくて……。だからもう、俺、明を追っかけまわすの、やめるな」
もう俺には、振り向いてもらう自信も、それまで追いかける体力も無かった。ただ好きと言う気持ちだけが、俺の胸に今でも住み着いていて、ちくちくと痛んでいる。
そんな決意に、明は「え?」っと声を返した。
俺はてっきり喜ぶと思った。鬱陶しいやつがいなくなってせいせいするのかと。
「あ、の、あぁ~っと」
もごもごと言葉を濁す明に、俺は顔を上げた。
「もう一回言ってもらえない?」
「だからもう、追わないって……」
「それじゃなくて!!」
「?」
何を言っていいのか分からず、俺は首を傾げた。
「~~……もめた原因の言葉」
「……好きだ」
真意がわからずに、俺は明がいなくなってしまうのを覚悟で言った。この言葉で合っているのだろうか。
「うん……」
体育座りをした明は言葉をかみ締めるように頷いた。
「オレ、色々あって怖いんだ。そういうの。愛だとか、恋だとか」
俺の髪に優しく振れながら、明は続けた。
「だから、良く分からないんだけど。でも麻都は、オレを騙してるんじゃないよね?」
確認するように言葉の語尾を上げる。俺は力いっぱい頷いた。それはもう、首が千切れんばかりに。
「……わからないけど、きっと、オレ――」
俺と目を合わせないように横を向き、話す明。その顔は赤かった。
「オレ、きっと、麻都のことがっ――」

