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Only you……
第2章 明 1

嫌だ。嫌だ。イヤだ。イヤだ。いやだ。いやだ...――。
逃げても、逃げても追ってくる。あんなやつら、みんな死んじゃえばいいんだ!! 僕を追ってくるな! 僕を求めるふりなんてするな! 本当は誰でもいいくせに。僕じゃない、他の誰かでもいいくせに。それなら何も、僕にしなくても、僕を追わなくてもいいじゃないか!
走って、走って。あいつらから逃げたかった。逃げ切れないことは初めから分かっていた。でも、そんな予想やなんかはどうでも良くて、ただ本能みたいな何かを使って逃げていた。
いやらしい目つき、顔つき。
気持ち悪い。
ついに追い詰められた僕は、息を切らしてその場にへたり込んだ。もう立ち上がれない。くらくら、目眩がする。もともと体は丈夫じゃなかった。昼間の太陽は僕には眩しすぎたし、夜の風は僕の体を冷たい鞭で打つようだった。座り込んだまま、恐る恐る顔を上げると、そこには汚く笑う男が3人――。
一歩、一歩近づいてくる。
それに合わせて、僕は、一歩、一歩下がる。でも、もうすでに後ろは壁。逃げ場所は初めから無かった。それが僕の運命とでもいうように。神なんてものがいるのなら、僕は相当嫌われているみたいだ。
「誰からヤル?」
「は~い! オレからっしょ?」
「ばーか。ジャンケンだよ」
右から入って、左から抜けるように、勝手に耳に入ってくる声。それがとてつもなく怖くて、僕は震える手で耳を覆った。
そんな僕をジャンケンを終えたあいつらが乱暴に押し倒す。冷たい廊下が背に直に触れた。下着まで剥がしてから、あいつらは驚いたような声を上げた。
「こいつ……男だったのか?」
「こんな可愛い顔してるから、てっきり女だと」
ふざけるな。
僕は男だ。
生まれてこの方、女になったことなんてない!
叫びたかった。でも、声が出なかった。怖かった。
「いいじゃん、どっちでも。やること一緒だし? 妊娠しないぶんお徳だよ」
くっくっくと喉の奥で、笑う声。聞きたくない。聞きたくないよ……――。

