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第8章 明 ４

貴正さんが死んだという知らせを聞いたのは、翌日のことだった。

原因は不明。持病が原因なのは明らかだったが、その病気自体が解明されていないのだから、死の本当の原因は不明だった。ただ、心臓にいくつもの穴が空き、いままで命をつないでいたことさえ不思議だったそうだ。

死に際には散々苦しんだはずなのに、その顔はとても穏やかで幸せそうな笑みさえたたえていたらしい。やっぱり、透真さんがいたからだろうと思う。

オレは貴正さんから麻都を任された。オレは麻都を愛してゆく。たぶん、貴正さんと透真さんみたいなくらいか、それ以上に。

お葬式の準備は大変だった。火葬のため以外には業者は呼ばなかった。社員一同で貴正さんを送ろうということだった。どこへ送るのかは分らない。でも、きっともう会えないような遠くへ。


そう、遠く、遠くへ――……。