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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
「何か飲もうかな…」


気を紛らわす為にテレビを付けてリモコンでチャンネルを選ぶが、然して面白そうな内容がない。


とりあえず、適当でいいや…。


テレビをぼうっと観ながら、思考は自然と回ってる。


付き合い始めて、約3ヶ月ほどだ…
まだキス以上は進んでなかった。


何せ初めてだらけの光花に、それだけの諸状況を整えてあげたい。


今日だって、正直期待してなかったなんて言ったら嘘だ…。


めちゃめちゃ期待してたんだ…
だから、アミューズメントパークの綺麗な夜景とか見れるホテルとか提案したし…

カレーに、勝てなかったけど。


「つまんねぇ…」


リモコンを弄りながら、缶チュウハイを一口飲む。


最初が、こんな殺風景なアパートって、どうだろうか?


本当に、必要最低限のモノしかない面白味がない部屋だ。


「はぁ…我慢、訊くかな…」


「志信さん!お風呂上がったよ!」


「わっ!」


不意討ちの光花の声に驚き、叫んでしまう。


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