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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
それから一時間ほどカレーを煮込み


「そろそろ食べ頃だよ」


光花はカレーをかき混ぜながら俺に微笑む。


毎日、家事をしてただけあって、光花は手際よくカレー以外にも、簡単なおかずも作っていきながら、使った道具の片付けもチャキチャキ終わらせてた。


俺も作る方だけど、ここまで早くは出来ないなぁ~と、尊敬してしまうのと同時に、彼女を知らなかった年月を垣間見れた気がした。


これからは同じ思い出を共有出来る嬉しさが、俺を希望と自信に誘っていく。


光花の背中を見詰めながら、二人で絶対に幸せになっていこうと決意してると、美味しそうなカレーの匂いが、漂っていた。


俺はさっき材料を切ったテーブルに、カレー以外の物を用意しながら、


「光花は、余り飲まないよね?」


冷蔵庫から自分の分の缶ビールを取り出すと


「う~ん、でも今日は飲みたいかも!」


と、言ってきた。


普段と違う光花に、俺は内心またドキドキしてしまった。

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