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石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第8章 第二話・参
 嘉門がお民の身体を蹂躙し尽くした後、部屋を出ていったのは暁方のことであった。
 夜も明けやらぬ頃に出ていった嘉門は出合茶屋の女将に幾度も念を押していった。
「俺はまた夕刻に参る。それまであの女を逃してはならぬぞ。また、自害もせぬよう、厳重に見張っておいてくれ」
 更に金を渡された女将は憮然とした顔で頷いた。陽が高くなった頃合いを見計らい、盆に簡単な朝飯の用意をして様子を見にいった。
 女はまだ死んだように眠っていた。
 昨夜は一晩中、喘ぎ声や、それに混じって悲鳴やすすり泣きが階下まで聞こえてきて、煩くてろくに眠れやしなかった。
 朝まで烈しい情交を幾度も続けたせいか、女の表情には疲れが滲み、頬には幾筋もの涙の跡があった。
 一刻ほど後、女将が再び覗いた時、女は既に眼を開いていた。一糸纏わぬあられもない身体を惜しげもなく晒し、惚けたように褥に座り込んでいた。
 むろん、朝飯には一切手を付けてはいない。
 女の瞳からは既に生気―生きようとする意思も力も失われていた。
 それにしても、きれいな女だと思った。
 これまで多くの女を見てきた。ここ随明寺門前道に建つ出合茶屋〝むらさき亭〟の女将となって既に十年余り、初めはこの店も表向きは小料理屋として営業していた。が、内実は仲居に座敷で客を取らせる色宿であった。
 ゆえに、今でもこの店は見た目は小料理屋風につしらえてある。恐らく、並んで建つ他の幾つかの出合茶屋も似たようなものだ。
 他の店がすべて出合茶屋として営業していたため、むらさき亭も二、三年めからは出合茶屋として商売をすることになった。客が入るかどうか心配していたけれど、この世には三欲―つまり物欲、食欲、色欲―あるというけれど、結構、束の間の情事を愉しむ客たちがよく利用し、ほどほどの儲けはあった。
 岡場所で女郎として働いていた時代、晴れて年季明けまで勤め上げた後、さる大店の隠居の囲われ者になって、庇護を受けて過ごした。
 隠居は淋しい身の上の人だった。若い頃は凄腕の商人として一代で身を起こし、江戸でも名の知れた呉服太物問屋を開いたのだ。
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