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宵闇
第13章 衝動

「琴音」
ちゅっ、と音をたてて指が離された。
そのまま頬にふれてきた手にそろりと下から撫で上げられるようにされて、ん……! と身体がびくんと反応する。
顔にかかっていた髪を後ろへとよけるように動いた指は、露わになった耳へと辿り着いた。
「あ……」
さするようにくすぐられる。
かたちを指先で辿られる。
……そしてそこに這わされたぬるりとしたもの────。
「……っ……!」
そのぞくぞくは、まるで身体が痺れていくかのよう。
「琴音は僕のものだよ」
耳元でそのまま囁かれた言葉。
ちゅっ、と吸われた耳たぶ。
「ひぁっ……!」
首をすくめた拍子に離れた唇は、すぐにまた私を捕らえてくる。
「わかった?」
きゅ、と軽く噛まれて、私は小さく声を漏らしながら何度も頷いた。
「……他の男になんてもう絶対渡さないから」
「────……!」
締め付けられる。
胸が、ぎゅうっと。
苦しくてどうしようもなくなって、たまらず深い息を漏らした。
だって……そんな言葉を大好きでたまらない人からかけられても平常心でいられる人なんているんだろうか────。
……少なくとも、私には無理だった。

