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毒舌
第33章 見えない魔の手
地下鉄の痴漢から
助けてくれた
あのときのりおくんは
シャイな顔して
目をそらしてくれたのに、
今目の前にいるのが
同一人物とは思えない。
「どうでもいい、ね」
怒ってるのか
冷たい目で見下ろしてくる。
何か
踏んではいけない地雷を
知らず知らず
踏んでしまったらしく
明らかに
機嫌を損ねてしまった。
「恋人でもないひととも平気でキスするくらいだから、こんなことも別になんてことないんでしょ?」
「アレは香島さんが勝手にしただけで」
「まんざらでもない感じですぐに二人で出ていったよね、」
少なくとも。
あの場で怒ったり
抵抗したりは
してみせなかったのだから
りおくんからは
そう見えたのかもしれない。

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