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half. ~Sweet blood~
第16章 道

「どーでもいいよ、昂がいるから。お前が言うように、死んでもないし生きてもない。それならそれでいい…今存在してる事実があるなら」
「俺はここにいる」
「あぁ、俺も同じ。ここにいるんだ」
立ち止まる人間をベランダから見下ろし、失われた命を見送った。サイレンが遠くなっていく…アスファルトに残る血痕が、そこに彼が存在した事を証明していた。
騒いでいた人だかりはまた、日常へと戻る。
部屋に戻りソファに座る。自然と手を握りお互いを確認し会った。《ここにいる》という事実を…
「ルシア…」
「なんだよ」
「いや…なんでもない」
「…し…てる」
「聞こえねー」
「昂っ…っ…愛して…る…」
「やっと言ってくれた」
「うるせーよ」
「俺も…愛してる」
「知ってるよ」
繋がれた手は引かれ、自分より身体の大きい昂の胸元に密着する。広い胸板は俺を包み込み、本当の温もりを与えた。
甘いんだよ…
すっげー甘い…
お前なしじゃ
俺が存在する意味なんてねーよ…
重なる唇…
滲む紅…
「昂、お前甘いんだよ」
「今更だな」
half.~Sweet blood~
END

