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half. ~Sweet blood~
第16章 道

ルシアの甘い香りにも馴れてきた。渇望する事もなくなり、今では口付けを交わした時に舌に絡む血液だけ。瞬間感じる痛みすらが…快感に変わっていく。
「何年生きたかなんてどうでもいい、むしろ生きてないのかもしれないからな」
「不思議な事を言うんだな」
「だって死なないなら、元から死んでるようなものだろ」
「言いたい事は分からなくもないけど、じゃぁ死んでるってゆーのか」
「冷たいだろ」
「あぁ…」
「昂だって気付いてるんじゃねーの」
「なんとなくだけど、言わないようにしてたな」
「俺が昂を殺しちゃったか…」
なんとなく。本当になんとなくだ。そうじゃないのかって、内心思っていたんだ。人肌より冷たくなった身体に…
「死んだんじゃねーよ」
「じゃぁ生きてるのか?」
「こういう道もあっていいんじゃね?」
「死んでもない生きてもない?」
「そこにルシアがいれば問題ない」
「あぁ」
「でも不思議だよな」
「なにが?」
「死んでたんならhalfじゃないだろ?vampireでいいんじゃねーの」
「しらねーよ、お前等がつけた呼び名だろ」
赤く光る回転灯、運ばれていくサラリーマンを眺めた。人だかりはさらに増し、アスファルトは紅く染まる。

