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第57章 紳士と獣

全て見透かされている…



彼は真希さんのことに関しては単純で扱いやすいが、それ以外のことに関してはかなり頭が切れる。



伊達に世界の有川商事の社長をしてるわけではないのだ──



そして、それは前社長秘書で現副社長として光瑠を支えている要がよく知っていることだ──…




「…………本当にあなたは性格が悪い…」




「何か言ったか？」




「いや、特に…なにも」



「ならいい。」





いつもなら理論で攻める要がやられっぱなしで、しかも言い返さないなんて…





「しかし嬉しいな…

お前も俺と同じ男だという事が分かって…」



言葉を続ける光瑠を無視して、要は会議室の方へと歩き出す。



一体何が起こっているんだろう…


そんな訳の分からない珍しい状況に周りは違和感を感じながら、光瑠の楽しそうな笑いを聞いていた。