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「私が欲しいですか?お嬢様」
第31章 専属〜誓いをふたたび〜
互いに抱きしめる力がこもる。
颯太さんだ…
颯太さんだ…
彩芽は抱きしめ、抱きしめられる
腕の中で颯太の匂いと感触を
噛み締めていた。
颯太もまた、彩芽の変わらない匂いと
感触を確かめる。
ー少し…痩せた…
その事に気づくのは早かった。
ふっと視線を上げると
颯太はその先にいる尚弥と目が合った。
尚弥はどこか切なげで
けれど安心した顔で微笑んだ。
ーすまなかった
ーいや、無事で何よりだよ
ーありがとう
ー今度お前がいなくなったら
彩芽は俺がもらう
ーああ…もう手離したりしない
2人の目はそう会話していた。
尚弥はフッと笑い
タクシーから荷物を下ろすと
そっと彩芽のそばに置いて
そこから立ち去った。

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