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Mの誘惑 -封じ込めた告白-  和田みさき著
第8章 落ちて行く私
 客の満足は肌身で愛撫へと変換されて私の身体をざわつかせる。足からワンピースが離れる。畳んで籐かごに入れると、私は無防備な下着姿となり、円形ステージの端まで進み、両手で乳房と股間を守りながら立ち尽くす。夫と交わした結婚指輪が下腹部で光っている。やることは、次を脱ぐことしかないのに、欲情の水位をあげるように視線にさらされる。
(こんなの異常よ……なのに、おかしくなる……)
 自分は絶対に露出狂ではない。街を歩いていて、唐突に肌を晒したいと思ったことなどない。しかし、女性の羞恥を食みたがる観客に囲まれ、匿名のオンナとなったとき、自分は間違いなく発情している。
 さっさと脱ぐんだ。裸になって狂うんだ。無数の叫びが聞こえてきて、ブラのホックに指を掛ける。そこで逡巡する。まだ、止まれる。自分の中には、正しく恥ずかしがり、そんなことを絶対にするなと叫んでくれる理性が備わっている。
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