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魅惑~甘く溺れる心と身体。
第13章 危険な罠、ふたつの欲望の前にただ狂い咲く……。
唯斗さんはどういう反応をするのかな。
あたしのこと、尻の軽い女だって思われちゃうかな。
それとも、急いで来てくれるかな。
すごくドキドキする。
唯斗さん、怒るかな。
あたしのこと、幻滅するかな?
口の中に唾液が溜まる。
溜まった唾液を喉の奥に押し込んだ。
須藤さんが電話をかけている最中、辺りはしんと静まり返っていて、ただただ電話のコール音だけが響いていた。
「須藤、どうした、何か仕事のことで不都合でもあったのか?」
「仕事は順調。ただ、今ね、俺澪ちゃんと一緒にいるんだわ」
「――それはどういう」
唯斗さんの声音が変わる。
今までよりもずっと低音になった。
怒るのかな、やっぱり。
あたしはドキドキしながらふたりの会話に聞き耳を立てる。
「家に帰る途中だったのかな。道端でばったり会っちゃって、お前と澪ちゃんとの関係性、知っちゃった」
「澪ちゃんに何かしたのか!?」
「さて、ね。その目で確かめに来ればいいじゃん?」
「今どこにいる?」
「相成駅にあるグルメショッピングモール近くのアルシャっていうラブホ、402号室――」
言い終えるかどうかっていうところで電話はすぐに切れた。
定期的な電子音が静かな空間に響く。
「森野。あの様子だと、きっとすぐ来ちゃうね」
須藤さんは苦笑を漏らして固唾を呑んで見守るあたしに視線を合わせた。

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