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僕の愛する未亡人
第11章 僕の愛する未亡人
理央 はビールの缶を袋から取り出して、ひとくち流し込んだ。
多分、酔わないと同じ空間にいることができない。
そう思いながら、おにぎりの袋を開けて、頬張る。
しばらくして佳織がユニットバスから出てくると、理央の左側に寄り添うように腰を落とした。
「佐藤くんの歯ブラシの……横に置いちゃって大丈夫だった?」
「ええ、どこでも。ココア飲んでください」
「ん」
少しぬるくなったココアの入ったマグカップに、佳織は口をつける。
帰ってきた時は気づかなかったが、ローテーブルの下に丸めて置かれたストッキングと、おそらくショーツ。
視線の先に気づいたのか、「ごめん、こんなところに置いて」と佳織が声を震わせて言う。
「捨てておいて……ストッキング、破かれたから」
「……え」
「下着の中まで……指……」
佳織はそれ以上言わなかった。泣きそうになっている。
会社の最寄り駅からたった数分の間で、直接性器に触れたということか。そして、それは彼女にとって嘔吐するほどの事態だということ。
怒りで理央の唇が震える。
「つ、捕まえればよかった」
目の前の袋の中身を全部取り出して、丸めて置かれた布を袋の中に放り込む。
理央は立ち上がって、キッチン横のダストボックスに苛立ちをぶつけるようにその袋を投げ込んだ。
佳織は、こんなに怒った理央を見たことがなかった。
唇を震わせつつ、佳織の横に腰をまた落とす。佳織は理央の腕に頬を寄せた。
「助けてくれたから、いいよ。今日は側にいてくれたら、嬉しい」
「うん……」
そうは言うが、あの男に、さらには自分に対する怒りに肩が震える。
自分が電車に乗ってなかったら、あの男はどこまで佳織に触れたのか。嫉妬心が沸き上がる自分に腹が立つ。
自分が彼女にしたかったことは、同じことではないのか。
缶に残ったビールを飲み干してテーブルに置くと、理央の手に力が入りすぎたのか、変な音を立てた。
その時、テーブルの上に置かれた佳織のスマートフォンが振動する。
息子の岳からの着信だった。「ごめん」と一言言って、佳織は電話に出る。
「もしもし? うん、ちょっと体調が悪くて……ちょうど同じ電車に乗ってた職場の人の家に来てる。今日はお世話になるから……」
多分、酔わないと同じ空間にいることができない。
そう思いながら、おにぎりの袋を開けて、頬張る。
しばらくして佳織がユニットバスから出てくると、理央の左側に寄り添うように腰を落とした。
「佐藤くんの歯ブラシの……横に置いちゃって大丈夫だった?」
「ええ、どこでも。ココア飲んでください」
「ん」
少しぬるくなったココアの入ったマグカップに、佳織は口をつける。
帰ってきた時は気づかなかったが、ローテーブルの下に丸めて置かれたストッキングと、おそらくショーツ。
視線の先に気づいたのか、「ごめん、こんなところに置いて」と佳織が声を震わせて言う。
「捨てておいて……ストッキング、破かれたから」
「……え」
「下着の中まで……指……」
佳織はそれ以上言わなかった。泣きそうになっている。
会社の最寄り駅からたった数分の間で、直接性器に触れたということか。そして、それは彼女にとって嘔吐するほどの事態だということ。
怒りで理央の唇が震える。
「つ、捕まえればよかった」
目の前の袋の中身を全部取り出して、丸めて置かれた布を袋の中に放り込む。
理央は立ち上がって、キッチン横のダストボックスに苛立ちをぶつけるようにその袋を投げ込んだ。
佳織は、こんなに怒った理央を見たことがなかった。
唇を震わせつつ、佳織の横に腰をまた落とす。佳織は理央の腕に頬を寄せた。
「助けてくれたから、いいよ。今日は側にいてくれたら、嬉しい」
「うん……」
そうは言うが、あの男に、さらには自分に対する怒りに肩が震える。
自分が電車に乗ってなかったら、あの男はどこまで佳織に触れたのか。嫉妬心が沸き上がる自分に腹が立つ。
自分が彼女にしたかったことは、同じことではないのか。
缶に残ったビールを飲み干してテーブルに置くと、理央の手に力が入りすぎたのか、変な音を立てた。
その時、テーブルの上に置かれた佳織のスマートフォンが振動する。
息子の岳からの着信だった。「ごめん」と一言言って、佳織は電話に出る。
「もしもし? うん、ちょっと体調が悪くて……ちょうど同じ電車に乗ってた職場の人の家に来てる。今日はお世話になるから……」

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