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僕の愛する未亡人
第11章 僕の愛する未亡人
理央は人目を避けながら、佳織の肩をそっと支えた。
「……電車乗れないですよね? タクシーで家まで送ろうと思ったけど……家帰るの嫌なら……僕の家でもいい?」
佳織は返事をしようとして、言葉が出なかった。喉が詰まり、涙の跡が頬に残っている。
それでも理央の袖を小さく掴むと、力なく頷いた。
駅を出ると、夜風が肌を刺した。秋の夜気が思いのほか冷たかった。
タクシーに乗り、理央のアパートに着くまでのあいだ、ほとんど言葉はなかった。
スカートの中まで触れられていたことに、佳織を傷つけた男への怒りと、同時にこみ上げる得体の知れない嫉妬。
それが自分の中にあると気づいた瞬間、理央は息が詰まった。
自分が以前、佳織を布団の中に引き込んだことを思い出す。
抱きしめて、キスをして、肌に触れた。――その男と自分の、何が違うのか。
「シャワー……浴びたいですか、それとも……あったかいもの飲む?」
家に着くなり、理央は部屋の電気をつけて尋ねる。
「シャワー……がいい」
ぽつりと佳織が呟く。先週、彼女が置いていった下着と、部屋にかかっているTシャツや、スエットを急いで渡した。
佳織は邪魔そうにジャケットを脱ぐと、ユニットバスへ消えていく。
理央はジャケットを拾い上げて、ハンガーにかけると、ため息をついた。
先程あんなことがあったのに、彼女の匂いがふわりと漂うこのジャケットに触れただけで、胸の高鳴りが収まらない。
(僕、だめじゃん)
シャワーの音がかすかに聞こえる。罪悪感と焦燥、そして抑えきれない昂ぶりが入り混じり、どうしようもない気持ちが胸に押し寄せた。
一旦頭を冷やそうと、理央は食事や佳織の日用品を買い込むために外へ出た。
*
部屋に戻ると、佳織が座布団の上に体育座りで蹲っている。
「すみません、食べ物とかなくて……あと、本間さんの歯ブラシとか、クレンジングとか……使うかなと思って。ココアとか、飲みますか? それともお酒が良ければ、ビールも……」
「ありがとう……歯ブラシ、使ってもいい…? さっき吐いちゃったんだ」
「嘘……」
テーブルの上に薬局のロゴの入ったレジ袋を置いたと同時に、理央は声を出した。
手が震えつつ、袋の中から歯ブラシを取り出して、手渡した。
ユニットバスに向かった佳織をちらりと横目に見たあと、湯を沸かし、ココアを入れる。
「……電車乗れないですよね? タクシーで家まで送ろうと思ったけど……家帰るの嫌なら……僕の家でもいい?」
佳織は返事をしようとして、言葉が出なかった。喉が詰まり、涙の跡が頬に残っている。
それでも理央の袖を小さく掴むと、力なく頷いた。
駅を出ると、夜風が肌を刺した。秋の夜気が思いのほか冷たかった。
タクシーに乗り、理央のアパートに着くまでのあいだ、ほとんど言葉はなかった。
スカートの中まで触れられていたことに、佳織を傷つけた男への怒りと、同時にこみ上げる得体の知れない嫉妬。
それが自分の中にあると気づいた瞬間、理央は息が詰まった。
自分が以前、佳織を布団の中に引き込んだことを思い出す。
抱きしめて、キスをして、肌に触れた。――その男と自分の、何が違うのか。
「シャワー……浴びたいですか、それとも……あったかいもの飲む?」
家に着くなり、理央は部屋の電気をつけて尋ねる。
「シャワー……がいい」
ぽつりと佳織が呟く。先週、彼女が置いていった下着と、部屋にかかっているTシャツや、スエットを急いで渡した。
佳織は邪魔そうにジャケットを脱ぐと、ユニットバスへ消えていく。
理央はジャケットを拾い上げて、ハンガーにかけると、ため息をついた。
先程あんなことがあったのに、彼女の匂いがふわりと漂うこのジャケットに触れただけで、胸の高鳴りが収まらない。
(僕、だめじゃん)
シャワーの音がかすかに聞こえる。罪悪感と焦燥、そして抑えきれない昂ぶりが入り混じり、どうしようもない気持ちが胸に押し寄せた。
一旦頭を冷やそうと、理央は食事や佳織の日用品を買い込むために外へ出た。
*
部屋に戻ると、佳織が座布団の上に体育座りで蹲っている。
「すみません、食べ物とかなくて……あと、本間さんの歯ブラシとか、クレンジングとか……使うかなと思って。ココアとか、飲みますか? それともお酒が良ければ、ビールも……」
「ありがとう……歯ブラシ、使ってもいい…? さっき吐いちゃったんだ」
「嘘……」
テーブルの上に薬局のロゴの入ったレジ袋を置いたと同時に、理央は声を出した。
手が震えつつ、袋の中から歯ブラシを取り出して、手渡した。
ユニットバスに向かった佳織をちらりと横目に見たあと、湯を沸かし、ココアを入れる。

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