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僕の愛する未亡人
第1章 隣の席の未亡人

九月も終わりかけだと言うのに、まだ外気温は暑くてたまらない。
今日は金曜日で、時刻は十八時。
定時を三十分ほど過ぎたが、飲み会に行く者、まだ仕事をする者。
この部屋には三十席程がひしめき合っている。
五つのデスクが向かい合う形で、三つの島が成り立っていた。
佐藤理央(さとうりお)ーー三十八歳、独身ーーは、ふわあっとあくびをしつつ、隣の席の本間佳織(ほんまかおり)をちらりと見やる。
確か、自分より一回り上だったはずだ。
丸い襟元で、白い半袖のふんわりとしたカットソーに、ベージュ色のタイトなスカート。
ダークブラウンに染められたショートカットの髪の毛から覗く耳元。
ぽってりとした唇。
熟女独特の、年相応のフェイスライン。それさえもいやらしい。
目は切れ長ながら二重で、鼻は高めだ。もとの映えある顔のせいか、薄めのメイクでも美しさが際立つ。
ーーいつからそんな風に彼女を見るようになったんだろう。
左手を伸ばし、彼女の服の上から触れたい衝動に駆られる。
視線を感じたのか、「なあに?」と年齢相応に少し低めの声で話しかけられ、微笑まれる。
どきんっと胸が高鳴る。
きっと、理央は優しい彼女に恋をしているのだ。
「あ、いや……ぼーっとしてました、すみません」
ノーネクタイで、白い半袖のシャツ姿の理央は、寒くもないのにその場をごまかすように肩をさする。
そして、ウルフカットで襟足の長めな理央は、自分の襟足をくるくると触る。動揺しているらしい。
目がくりくりとして、童顔な理央は二十代に間違われることも多かった。
唇を尖らせて、「むぅ」と思わず声が漏れた。
「ふふ、疲れてるの? 大丈夫?」
佳織は右手で二段目の引き出しを開けると、包みに小分けされたチョコレートを理央にいくつか手渡した。
手が触れただけで、どきんと胸が高鳴る。
「仕事、終わってないにしても、ちょっとは休憩しなさい? 佐藤くん、いつも仕事頑張ってる感じするから」
「あ、す、すみません」
理央は、仕事の精度が高いのだが、子供っぽさや、飄々とした態度のせいなのか、そして、まるでホストのような容姿のせいなのかーーあまり仕事について褒められることが多くなかった。
今日は金曜日で、時刻は十八時。
定時を三十分ほど過ぎたが、飲み会に行く者、まだ仕事をする者。
この部屋には三十席程がひしめき合っている。
五つのデスクが向かい合う形で、三つの島が成り立っていた。
佐藤理央(さとうりお)ーー三十八歳、独身ーーは、ふわあっとあくびをしつつ、隣の席の本間佳織(ほんまかおり)をちらりと見やる。
確か、自分より一回り上だったはずだ。
丸い襟元で、白い半袖のふんわりとしたカットソーに、ベージュ色のタイトなスカート。
ダークブラウンに染められたショートカットの髪の毛から覗く耳元。
ぽってりとした唇。
熟女独特の、年相応のフェイスライン。それさえもいやらしい。
目は切れ長ながら二重で、鼻は高めだ。もとの映えある顔のせいか、薄めのメイクでも美しさが際立つ。
ーーいつからそんな風に彼女を見るようになったんだろう。
左手を伸ばし、彼女の服の上から触れたい衝動に駆られる。
視線を感じたのか、「なあに?」と年齢相応に少し低めの声で話しかけられ、微笑まれる。
どきんっと胸が高鳴る。
きっと、理央は優しい彼女に恋をしているのだ。
「あ、いや……ぼーっとしてました、すみません」
ノーネクタイで、白い半袖のシャツ姿の理央は、寒くもないのにその場をごまかすように肩をさする。
そして、ウルフカットで襟足の長めな理央は、自分の襟足をくるくると触る。動揺しているらしい。
目がくりくりとして、童顔な理央は二十代に間違われることも多かった。
唇を尖らせて、「むぅ」と思わず声が漏れた。
「ふふ、疲れてるの? 大丈夫?」
佳織は右手で二段目の引き出しを開けると、包みに小分けされたチョコレートを理央にいくつか手渡した。
手が触れただけで、どきんと胸が高鳴る。
「仕事、終わってないにしても、ちょっとは休憩しなさい? 佐藤くん、いつも仕事頑張ってる感じするから」
「あ、す、すみません」
理央は、仕事の精度が高いのだが、子供っぽさや、飄々とした態度のせいなのか、そして、まるでホストのような容姿のせいなのかーーあまり仕事について褒められることが多くなかった。

