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柔肌に泥濘んで、僕は裏返る
第11章 月下美人のデカダンス
二人の脈動が落ち着いても、抱きしめる腕が緩むことはなかった。

触れ合う体温がまだ熱を帯びていて、息苦しいほど近いのに、どちらからも離れようとはしない。

言葉を交わさなくても、このまま永遠に縫い止められてしまうんじゃないか──そんな錯覚が胸を覆い尽くしていた。

やがて裕樹は、かすかに息を整えながら視線を上げる。

叩きつけるように降り続いた雷雨は、いつの間にか止んでいた。

小窓の外に広がる闇は色を変え、淡い光が夜の帳を押しのけ始めていた。
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