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純潔の檻 ―敵国の騎士に囚われて―
第1章 堕ちた城
敵が来る。

奪われることは分かっている。

それでも私は、王女として、この身を晒して立ち続ける。

この命、最後まで王国の誇りと共に。

塔の重い扉が、雷鳴のような轟音と共に砕け散った。

「――エルディア王国の王族ども。覚悟せよ。」

炎の逆光の中から現れたのは、戦場の噂通り、いやそれ以上に威圧的な男だった。

金色の髪が炎に照らされ、まるで聖なる光のように揺れている。

だがその瞳は冷たく、鋭い。

黄金の瞳に映るものすべてを焼き尽くすような、帝国の猛獣――それが、ゼノ・ヴァルトハルト。

だが私は退かなかった。

膝は震えていたが、足は一歩も引かなかった。

「逃げも隠れもしません!」

静かに、けれどはっきりと声を張る。

私は一歩前に出て、真っ直ぐ彼を見据えた。
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