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第34章 真実

「……絶望したんだ。望んだ結婚ではなかったが、私なりに家庭を築こうと思っていた。大翔は兄夫婦の子供でね……、ちょうど真人が生まれる前に兄夫婦が交通事故に遭って亡くなったんだ。身寄りがなくなった大翔を私が引き取るしかなかった。洋子もその時は同意してくれたが、真人を産んでからは、真人しか目に入っていないみたいだった」

「……」

「それでも自分の家族を守ろうと思った。洋子を愛する努力もしようと思った。でも彼女は常に愛に飢えていて、私だけでは飽き足らず、外に愛を求めるようになった」

「……」

「洋子が浮気をしているのは知っていた。大翔や真人を家に置いて、出かけているのもわかっていた。私は見て見ぬ振りをしたんだ。浮気しても、必ず家に帰ってきていたから……。だから陽菜が産まれた時はすごく嬉しかった。家族五人で幸せな家庭を築けると信じていた。でも彼女はっ……」


　そこまで話すと、お父さんは言葉を詰まらせた。


「お父さん……。お父さんもずっと辛い思いをしてきたんだね……」


　私がそう言うと、お父さんの私を抱きしめる力が弱まった。


「……すまない、陽菜。私は酷い父親だ……」

「……え？」

「陽菜が自分の子供じゃないとわかった時、陽菜を使って復讐しようと思っていた」