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大きなクリの木の下で
第15章 結ばれる夜

室内を色々見て回って知ったのだが、
クローゼットもあるし、冷蔵庫だってツードアの冷凍冷蔵庫だし、トイレにシャワーまで完備されている。
病室とはいえ、ちょっとしたホテルの一室のようだった。
「親父が奮発してくれたお陰だな
僕一人じゃこんな豪華な病室の部屋代なんてとてもじゃないが払えないからな」
さあ、手を貸してくれよ。
ベッドから起き上がりたいんだ。
そう言って静香に向かって自由に動かせる左手を差し出した。
その仕草に静香が慌ててベッドに駆け寄り彼の手を握った。
「捕まえた」
竹本はガシッと静香の手を握ると、グイッと引き寄せて彼女を抱き締めた。
「あっ…」
「君はいつからそんな余所余所しい女性になっちまったんだい?ほら、僕は僕だよ、君がよく知っている竹本伸和だよ」
そう言って強く静香を抱き締めた。
『あああ…何も変わっていないのね?
そうよね、あなたはあなたのままなのよね』
待ち焦がれていた竹本の体臭を静香はおもいっきり吸い込む。
ソッと手を添えて逞しい胸板をなぞる。
竹本の指は静香の顎の下に添えられ、
優しく上を向けさせられる。
あ・うんの呼吸で静香が目を閉じると唇に竹本の唇が重なってくる。
「ほらね、何も変わらないだろう?」
「ええ…あなたはあなたのままなのね」
止まりかけていた二人の時間が、またゆっくりと動き始めた。

