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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第8章 鬼と巫女の攻防

「……!」
巫女は思わず立ち上がり、縁側のふちに一歩踏み出した。
彼女の大きな瞳は朝日を映し、驚きと衝撃で揺れる。
「なんてこと……」
囁く声は震え、彼女は無意識に手を胸に当てていた。
太陽が地平線を登るにつれ、空は青と金のグラデーションに染まり、遠くの雲が燃えるように赤く輝く。翼を広げた小鳥がさえずりながら空を舞い、木々の間を跳ねた兎が朝の光に照らされて生き生きと動く。
彼女はそんな光景に目を奪われ、唇を半開きにして見入った。
普段は凛とした彼女の顔に、子どものような純粋な驚きが浮かぶ。その瞬間、彼女は自分が巫女であることも、鬼の腕に囚われていることも忘れ、ただこの衝撃に身を委ねていた。
「……ん?」
鬼はその様子を一瞬も見逃さず、惹き付けられるようにして彼女の横に立った。
「初めて見せる顔をしたな」
耳元で囁いた鬼が、巫女の頬に指を滑らせる。
彼女はハッと我に返り、自分の無防備な表情を鬼に見られたことに気づく。頬がカッと熱くなり、慌てて顔を背けた。
「…っ、み、見ないでください!」
声を震わせ、着物をぎゅっと握りしめる。赤面した彼女の姿は、朝日の中で一層際立ち、隠せようもない。それは鬼の関心を強く惹きつけた。

