この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第2章 人喰い鬼の討伐

 ───

 そこから長い旅路を終え、いよいよ山頂に着こうとする時。

「……!」

 駕籠(カゴ)で運ばれていた巫女は、護衛の侍と運び手を止めた。

「ここまでで構いません。わたしを残して、皆さまは山を下りてください」

「…!?ですが巫女さま、急がねばもうじき日が暮れてしまいます。モノノ怪の力が強まる夜に、おひとりではあまりに危険です!」

「問題ありません」

「せめて夜明けまで我らと待機して…」

「いえ、夜でなければ鬼には会えぬのです」

「え…?」

「どうか、下山してくださいませ」

 モノノ怪退治になれない兵たちを、危険な場に連れてはいけない。

 反対する男たちを説得し、巫女はひとり山へ残った。


 シャラ...


「──…さて」


 シャラ...シャラ....


 ゆっくりと山頂を目指し登っていく。


 シャラ...シャラ...


 日が暮れて、暗闇に包まれた山は不気味である。

 動物の気配は全くなく、風さえも途絶えて、息を潜めているようだ。

 ただ彼女が持つ錫杖(シャクジョウ)が揺れる音だけが、シンッ──と静まり返った山の中で、物悲しく鳴っていた。


 ──ザッ


(…見つけた。あれが鬼が住みついたと言われるあばら家ね)

 立ち止まった彼女の前には、風雨にさらされボロボロの家屋が現れた。

 人々が言うには、これが鬼の住処らしいけれど…

(やはり鬼の気配はない)

 巫女は頭上を見上げ、木の葉の隙間から空に浮かぶ月を見た。

 その月の角度から、今の時刻を推し量る。

 時間はまさに、ちょうどのようだ。


 ──トンッ


 彼女は片手に錫杖(シャクジョウ)を掲げ、それを地面に突き刺した。


 ....グラッ


「……っ」


 するとどうだろう。

 彼女を中心として空間が歪み、天地が一周するような奇怪な現象が辺りをつつんだ。

 その中を巫女は歩き出す。

 ──ここは【 境界 】だった。

 人の世と、鬼の世が交錯する場所。それは夜中のある時刻にだけ、特殊な条件下で現れる。



/111ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ