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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第5章 逃避の代償

「邪魔な服はひん剥け!丸裸だ!」

 囲まれた彼女に逃げ場はなく、次々と迫る異形の手が彼女の巫女服を掴み、引き裂こうとする。

「…っ…離してください!…離れて!」

「いい〜悲鳴だ!いいぞぉ騒げ!もっと泣き叫べ!」

「やめっ…て」

 袴(ハカマ)をはいていない彼女がまとうのは、頼りない白襦袢の一枚のみ。衿を掴んで引っ張られると、華奢な肩と背中がモノノ怪たちの前にさらけ出された。

 服をおさえようとする手は、左右に立つモノノ怪がそれぞれ掴んで引っペがす。

「脚も掴んでひらかせろ!!」

 何かの祭りのように興奮して盛り上がる異形たち。

 身体の自由を奪われ…絶体絶命の瞬間、彼女は目を閉じ、最後の祈りを口にした。


(神よっ……どうか、あなた様の遣いたるこのわたしに、あなた様の御力の片端(カタハシ)を────どうか)




 神よ───






 ......




 その時だった。


「──グオオオッ!」


 轟音と共に、モノノ怪の一匹が吹き飛び、その躰が大樹に叩きつけられた。

 驚いた巫女が目を開けると、霧の中から白銀の長髪をなびかせた──黒衣の鬼が姿を現した。




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