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巫女は鬼の甘檻に囚われる
第5章 逃避の代償

屋敷の暗闇に閉じ込められた巫女姫は、あれから幾日も鬼の執拗な愛撫と妖気の侵食に晒されていた。
彼女の身体はそのたびに熱に浮かされつつも、心の奥底にはまだ抵抗の炎を灯し続けた。
鬼の黄金色の瞳に見つめられ、絡みつくような甘い言葉を囁かれるたび…彼女は己を保つために必死に祈りを捧げていたのだ。
(わたしは巫女っ……このような穢れに支配されるわけにはいかない)
しかし、その祈りも虚しく、鬼の手が彼女の肌を這うたびに身体は裏切り者のように反応してしまう。快楽の波に飲み込まれそうになるたび、彼女は唇を噛み、涙を流して耐えしのんだ。
──此処は " 境界 "
時の流れが人の世と異なるこの場所で、彼女はもう何日も飲まず食わずであったが、空腹は感じない。
日が昇る、という概念すらない。当たり前のように外はいつも暗闇だ。
朝は来ず、いつ終わるのかわからない陵辱の時間
限界をむかえた身体が欲する深い眠り
巫女はただそれを繰り返すのみだった。

