この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
巫女は鬼の甘檻に囚われる
第18章 捨てた名前








 …


 ……──


 ………───




 其れは──八百年前の、鬼界。


 冷たく重い、黒い霧


 その霧が一面に立ち込める森に、ひとつの御堂があった。


 とうの昔に使い手を失い、朽ち始めた御堂。


 その中には、四方から伸びる太い鎖があり、錆びた鉄のきしみを響かせ、中心で交錯していた。


『 ──… 』


 鎖の中心には……ひとりの少年が吊られていた。


 鎖は彼の腕と胴を締め付け、身体を宙に浮かせ、自由を奪っている。


 少年の生成(キナリ)色の長髪は、傷だらけの身体に絡みつき、血が滲んだ跡を隠して垂れていた。白い肌は切り傷や打撲で赤黒く染まり、血が滴って床に小さな溜まりを作る。


『 災いの元凶を殺せ! 』

『 その魂を、永久に鬼界から追放しろ! 』


 御堂の外では、キィキィと甲高い怒号が飛び交う。無数のモノノ怪の声が、怨嗟と憎悪に満ちて重なり合い、黒い霧を震わせた。



 ギィィィィ....



 そんな中──御堂の扉が、軋む音を立てて開く。



『 他の呪いは、境界の中に閉じ込めた 』


『 ──… 』


『 後は……お前だけ、だ 』



 暗闇から現れたのは銀髪の少年だった。




/140ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ