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誰にも言えない回顧録
第2章 28歳 大学職員
何も知らないまま未開の絶頂に押し上げられ、受け止める備えもなかった私は床にへたり込んで動けなくなった。
放心状態の中、それでも自分が味わった感覚の本質、は朧げに悟った。
早過ぎる体験だった。
でも。
頭の中を隅々まで支配されたこのひと時に私はすっかり心を奪われてしまった。

しばらくの間、私はパパにずっと抱き締められていた。
心の底から満たされていた。

ようやく脚に力が入り、よろけながらバスチェアに腰掛ける。
パパはようやくこれまでどおりに全身を優しく洗ってくれた。

浴室を出る頃には、私はすっかり落ち着いていた。
二人だけの秘密なんだからね
念を押すパパに、すぐに頷いてみせる。
やがて母が帰宅し、無機質なひと時を過ごしたのちにパパは意味深な微笑みを私にだけ見せて、引き上げていった。


6年生に上がり、私の肉体はランドセルを背負っているのがどうにも滑稽なくらいに成育していた。

身につけているものも明らかに不似合いになっていた。
周囲から浮きたくなくて皆と同じようなスポーツブラを着け続けていたが、リアルな輪郭や動きが露わになってしまうのが恥ずかしかった。
ゆったりしたシルエットの衣服でごまかそうとするものの、どうしても人目を引いてしまうのだった。

いけない子。
パパに言われるその言葉に、私は常に囚われていた。

好奇の視線を感じても。
中にはすれ違いざま心ない言葉をつぶやく人がいても。
感じる嫌悪は都度その相手ではなく、原因であるはずの「いけない子」つまり自分自身にしか向かないのだった。


私にとって、そんな懊悩から解放してくれる唯一の存在がパパだった。

いけない子である私を受け入れ、許してくれる。
心の奥底で望んでしまっている「いけないこと」を、望みどおりに、そしてけっして誰にも知られずに与えてくれる。
私の心はすっかりパパに依存し、支配されてしまっていた。

パパがやってくる。
いつものように出迎える。
何も変わってはいない。
でも。
お風呂に入ろうか、と言われた途端にまるで魔法にかけられたように心身が竦み上がってしまう。

前室のドアがしまったら、いけないことが始まる。
自ら服を脱ぎ始めるだけでもう呼吸が苦しくなる。
最後にパンティを脱ぐ時には、パパが間近で見つめているのが決まり。

脱ぎ下ろす時にはもう。
恥ずかしい蜜溜まりが出来ているのだった。
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