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愛の笛
第4章 悪友の結婚
「いや、これは演奏するためのものじゃなくて…
そう!いわば御守りのような感じで持ち歩いてるんだ」
演奏しろと言われても
自分では音色が聞こえないんだから
演奏もひったくれもなかった。
「じゃあさ、せめて音色だけでも聴かせてよ」
女ってどうしてどいつもこいつも言い出したらキリがないんだ!
仕方ない…
音色を聴いて彩佳がその気になっても
こちらにその気がなければ変な展開にはならないだろう…
「じゃあ…ちょっとだけ…」
草薙はバイト先の美穂に聴かせたように
適当に吹いてみた。
「草薙くん。あなた…」
ほら来た!
ごめんだけど僕は君を抱くつもりはないからね
そう言おうとした次の瞬間、
「あなた、楽器を演奏する才能がないのね」と言って
プププっと我慢しきれずに吹き出した。
「貸して…私が演奏して聴かせてあげるから」
「いや、それは困るよ…
それにさ、それって僕と間接キスをすることになるんだぜ」
「そっか…そうね…
私と間接キスするのはイヤ?」
「いや…イヤっていう訳じゃないんだけど…」
「私ね…草薙くんさえ良ければ…
間接じゃなくて…その…直接でも…いいかなって思っているの…」
マズイ!マズイぞ!
彩佳が淫乱モードになりつつある。
ここはなんとしても淫らな雰囲気にさせてはいけない。
葉子に続いて彩佳まで抱いてしまうと、
また同窓会と称して飲み会で集まったときにバレたりしたら
とんでもなく破廉恥な男だってみんなに思われてしまう。
「やっぱり草薙くんは葉子がいいんだ…」
「えっ?葉子?
なにバカなことを言ってんだよ」
「隠したってダメだからね
草薙くんは気づいてないかもしれないけど
葉子を見つめるまなざしが惚れているって白状しているようなものだったわ」
怖い!女の勘の鋭さってバカに出来ないなと思った。
慌てて草薙は「そうかい?それは単なる彩佳の思い過ごしだよ」と言い訳した。
「じゃあ、葉子とは恋愛関係にないのね?」
「ああ、もちろんさ
あっちはエリート官僚でこっちはしがないバイト生活だぜ
どう見ても不釣り合いだろ?」
「じゃあ私、草薙くんの彼女に立候補してもいいのね」
「か、彼女ぉ!?」
「言ったでしょ、私、草薙くんとなら直接キスしてもいいって」
そう言うと彩佳は草薙に抱きついてきた。

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