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わたしの放課後
第12章 床上手
「恵子ちゃんは、なにかお稽古事をしたことはあるのかな?」
「小学生の頃、お習字の教室に通ったくらいです」
「お習字か。綺麗な字を書けるのは素敵なことだね。ちょっとお願いしようかな」
おじさんが色紙とフェルトペンを持って来た。
「『本日閉店 店主』って書いてくれるかな。恵子ちゃんが来てくれたときのためにね」
おじさんにはいろいろ教えてもらいたいし、もっと気持ちよくなってもらいたい。『床上手』になれるといいな。わたしは心を込めて文字を書いた。
「こんな感じでいいですか?」
書いた文字をおじさんに見せる。
「いい…。いいね。均整がとれていて、文字も端正で。きっといい先生に習ったんだろうね」
「ん…。普通のおばさん…もう、おばあさんだったような。でも、確かに上品な感じでした」
「そうだろうね。ありがとう」
おじさんは、ちょっとおおげさに色紙を押し戴いてみせたので、ちょっと可笑しくなってしまった。
「恵子ちゃん、先生に向いているんじゃない?」
不意におじさんが言った。
「どうしてですか?」
そう問いかけながらも、今日、学校で、将来の仕事のことにあれこれ思いをめぐらしていたときに、母が教師だったことは意識からはすっかり外れていたことが自分でもちょっと意外に思った。
「おじさんの勘みたいなものだけど、恵子ちゃんが教壇に立っている想像がすごくしっくり来るんだ。きっと教え上手だろうなって」
「そうかな…」
「教え上手は、教えられ上手でもあるからね」
「おじさんの想像では、わたしは何を教えているんですか?」
「ああ、教科のことかな? やっぱり国語、それとも歴史かな」
おじさんにはいろいろ教えてもらえそうな気がしている。これからもいろいろ教えてもらいたい。
「小学生の頃、お習字の教室に通ったくらいです」
「お習字か。綺麗な字を書けるのは素敵なことだね。ちょっとお願いしようかな」
おじさんが色紙とフェルトペンを持って来た。
「『本日閉店 店主』って書いてくれるかな。恵子ちゃんが来てくれたときのためにね」
おじさんにはいろいろ教えてもらいたいし、もっと気持ちよくなってもらいたい。『床上手』になれるといいな。わたしは心を込めて文字を書いた。
「こんな感じでいいですか?」
書いた文字をおじさんに見せる。
「いい…。いいね。均整がとれていて、文字も端正で。きっといい先生に習ったんだろうね」
「ん…。普通のおばさん…もう、おばあさんだったような。でも、確かに上品な感じでした」
「そうだろうね。ありがとう」
おじさんは、ちょっとおおげさに色紙を押し戴いてみせたので、ちょっと可笑しくなってしまった。
「恵子ちゃん、先生に向いているんじゃない?」
不意におじさんが言った。
「どうしてですか?」
そう問いかけながらも、今日、学校で、将来の仕事のことにあれこれ思いをめぐらしていたときに、母が教師だったことは意識からはすっかり外れていたことが自分でもちょっと意外に思った。
「おじさんの勘みたいなものだけど、恵子ちゃんが教壇に立っている想像がすごくしっくり来るんだ。きっと教え上手だろうなって」
「そうかな…」
「教え上手は、教えられ上手でもあるからね」
「おじさんの想像では、わたしは何を教えているんですか?」
「ああ、教科のことかな? やっぱり国語、それとも歴史かな」
おじさんにはいろいろ教えてもらえそうな気がしている。これからもいろいろ教えてもらいたい。

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