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わたしの放課後
第5章 アクメの秘密
 『5時には終わらせる』…って、5時までしてるんだ…と思った。わたしもそうだけど…。試験期間中は毎日おじさんの家に通ってお昼過ぎから夕方までセックスしていたし。

 「塾の生徒が増えてきて私も彼も受け持ちのコマが増えちゃったのよね。塾長さんに『講師の数を増やしてください』ってお願いしたいくらい」

 『増えちゃった』って、彼とセックスする時間が減ってしまって残念…みたいな言い方をする母。愚痴をこぼしているが母の口角は上がっていて、イキイキしているように見える。

 「でも、お母さん、楽しそうだよね。なんかうらやましい」
 「そう見える? そうかあ、そう見えちゃうかあ…」

 『まんざらでもない』様子ってこういう感じのことか、と思う。母の笑顔を見ていて、わたしは母も彼とのセックスできっと『アクメ』している…と思った。『メス』になって…。性器どうしがふれあう快感から感覚がだんだん大きくなって身体じゅうに広がっていくあの感じ…。

 「…とにかく、お父さんにバレないように気を付けてよ。わたしは黙っててあげるから。『お前、いつから知ってたんだ』なんて詰問されたらわたしいやだし」
 「あなたはお姉ちゃんよりしっかりしてるから安心してるわ」
 「安心されても…。お姉ちゃんだって、何かの都合で急に帰ってきたりするかもしれないよ」
 「あの子、家を出てすっかり羽を伸ばしてちっとも帰って来ないし」

 姉ならそんなことがあっても不思議ではないような気もする。妹が隣の部屋にいてもカレシとセックスしてしまうぐらいのずぼらな…というか割りきりのいい人間だから。

 「もう家がどこかも忘れちゃったんじゃないかしら?」

 さすがに家がどこかも忘れたなんていうことはないと思うけど。たわいもない冗談を言う楽天的な母に少々呆れてしまう。でも、楽天的じゃなかったら浮気なんかできないのかもしれない。それともわたしにも早く家を出て行きなさい…というメッセージなのだろうか。そうなれば母はもっと羽を伸ばして浮気を愉しむことができるのだから。わたしの考えは行きつ戻りつ…。

 「あなたもこの頃楽しそうじゃない? 好きな人でもできたんじゃないの? 女の子って急に雰囲気が変わるときがあるものね」

 たわいもない冗談のつもりで言っているのだろうか。それとも元教師でもある母の経験に基づく『勘』のようなものなのか。
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