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溶け合う煙のいざないに
第2章 答え合わせ

掴んだ髪を指先でじりじりと擦りながら前傾して震える。
「……っは」
あまりに慣れた力の緩急に、あっという間に果ててしまった。長い指のせいか、熱い掌のせいか、握られた瞬間から出したくて仕方なかった。
当然のように飲み下した遥望が起き上がる。口元を手の甲で拭いながら、太腿に手を添えてふふっと笑う。嫌味のない柔らかな笑顔に視線が奪われる。
硬いタイルから解放されるように立ち上がり、両腕を掴んできた。びちゃりと唾液と精液に濡れた感触だが不快感はなかった。
高低差が逆転し、見下ろされる。
「感想は?」
「経験豊富なことで」
「あーもー、可愛くない。めっちゃ気持ちよかった、とか褒めてよ」
ぐっと引っ張り上げられ、裸体を擦り付けるようにハグをする。
強く抱きしめながら、首元にキスを落とされる。
「……会って半日の男に精液飲まれたんだから、興奮してよ」
消え入りそうな声に、目を見開いてしまう。
どんな顔をしているのかと引き剥がして見れば、意外にも本当に悲しそうな顔をしていた。
なんだよ。
余裕でイかせといてなんて顔だ。
「興奮しなきゃ出さないだろ」
「そうだけど……」
まだ泣きそうな顔に苦笑いしつつ、遥望の喉に人差し指とトン、と当てる。
「ここを通って……」
スーッと腹の方に指を下ろしていく。
「今ここに俺の精子があるんだろ。興奮しないわけない。早く下からも入れてやりたい」
見る見る顔を赤くした遥望が手を掴む。
「ああもう、えっろい! 早くヤろ」
節操のない言葉に堪えきれずに破願してしまう。
「笑いすぎじゃん? ベッド行こ……」
「ひとつ、言うことがある」
「え、なに」
既に浴室の扉を開けていた遥望が振り返る。
離れたせいで輪郭のぼやけた顔を凝視する。
眼鏡は洗面台だったか。
頭を掻き、これから放つ言葉の心の準備をする。
これを、受け入れた相手は、今までいないから。
タオルを差し出され、白くふかふかの触感に気を落ち着ける。
「俺も、両方なんだ」
なんのこと、と言うほど察しの悪い相手ではない。
遥望は四回ほど瞬きをしてから、タオルで髪を拭き始めた。
「え、最高じゃん」
あまりにストレートな言葉に脱力してしまう。
いや、ある意味予想通りか。
自分が馬鹿に思えて肩を震わせる。
「タチにしてはエロ過ぎると思ったし」
なんだそれ。

