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溶け合う煙のいざないに
第2章 答え合わせ

 足元から排水溝まで流れる泡を睨みつけ、荒く息を吐く。
 待ち合わせの時からそうだ。
 支配権は全部向こうに握られて、こっちばかりが気を乱す。
 年上だからリードしたい?
 無力すぎるって。
「お、願いします……限界だって、もう」
 すでに一度放ったせいか、敏感になっている竿から無駄撃ちなんてしたくない。シャワーと共にゆるゆると擦り流されるだけでもう目の奥が熱くなる。
「は、やく……」
「わかった」
 待ちわびた低い声に悦んだのも束の間、入ってきたのは一回り小さな小指だった。それでもびくんと仰け反った身体は、快感にしがみつこうとぎゅっと締まる。
 睨みつければ、余裕の笑顔がまた色気えぐくてもう怒りも消える。
「ずっる……」
「慣らさないとだろ?」
 長さも太さも足りない小指が、拙い動きで抜き差しされる。
 こんなんで感じたくないのに、呼吸の度に喘ぎが漏れてしまう。
 奥に当たらなくても、指が入っているという事実だけでご褒美になってるんだ。
 耐えられない。
 バカ穴。
「や、だっ。早く、中指で……眼鏡ないと指もわかんないの!?」
「良い挑発」
「だ、からっ、はッ」
 抜かれた小指の空間に、ずぶりと二本の指が差し込まれて声が上擦った。
 待ち望んでいた中指と薬指に満たされ、ぞぞぞと鳥肌立つ。
 なにこれ、頭チカチカする。
 入れられただけなのに。
 焦らされた体が快感を貪る。
「あ……っは」
 反った上半身を優しく抱き寄せたかと思うと、顎を後ろから掴まれた。
 耳元に触れた唇が、笑いの含んだ息を吐く。
「これ、動かしてほしい?」
 こくこくと小刻みに頷くと、恋人にするみたいに柔らかく耳朶にキスをされた。
 やばい、好きになるって。
 眼を見たくて振り向きたかったのに、くっと曲げた指先にそんな思考も飛ばされる。
「ッッああ」
「ここをずーっと……トントンされたら、遥望バカになっちゃうね」
「あ、っあ、あ、んん」
 突かれる場所は同じなのに、指の向きと強さが変わるから、何度でも跳ねてしまう。
 そんな、教えるみたいな言い方……好きすぎて。
 もっと、ダメな生徒のオレを犯してほしい。
 今すぐ床に崩れたいのに、顎の手を離してくれないから、その腕にぎゅっとしがみつく。だらだらと涎が伝っていくのを気にも留めず、密着したまま喘ぎ続ける。
 気持ちいい。
 脳が、焼ける。
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