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感情の欠片
第3章 社会人として
1ヶ月が経った。
仕事は順調に進んでいる。
ナンパしてくる人とたまにホテルに行き、その面でも満喫している。

カズミの方はというと、あの男とは縁を切ったらしい。
何があったのか、本人からは詳しく聞いていない。
別人になって、こっそりカズミが貸し出された男たちを骨抜きにしたことは、隠しておこうと思う。

カズミが精神的に落ち着いてきたのか、今日はようやく食事会を再開できた。
「やっと落ち着いて食事できるね」
「ごめんなさい、前はあんな人連れてきて……」
「いいよ、気にしないで。そういえば、その人はどうしたの?」
「……うん。なんか元気なくなって、俳優も辞めたみたい……」

カズミの表情に、少し色が戻ったように見えた。
「元気なくなった」という言葉には、そういう意味も含まれているのかもしれない。

その後は近況報告に。
どうでもいい話で盛り上がった。
残念ながら、私には盛り上がったふりしかできなかったけれど。
この時間だけは、学生時代に戻った気がした。

「そういえば、彼氏できた?」
「えっ?! まさか、別れたばっかりだし……」
明らかな動揺を見せるカズミ。
まだ何かあるのだろうか。
あまり迷惑をかけないでほしい。
面倒だから。
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