この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
コンビニバイトの男の子
第6章 一夜

【3】
夕食後、リビングでくつろぐ貴之の前に、萩子が抹茶のスイーツと紅茶を差し出します。
「はい。食後のデザートです」
スマートフォンを操作していた貴之が顔を上げました。
「ありがとう。これ、今日発売だったね。買ってきてくれたんだ」
「ええ。チョコのも、とても美味しかったですよ」
「そうなんだ。いただきます。・・・うん、抹茶の風味がいいね」
ひと口食べた後、萩子に顔を向けます。
「シュウも、ひと口食べる?」
「今日は甘いもの食べすぎてるんですけど・・・、じゃあひと口だけ」
「そのつもりで買ってきたんでしょ」
貴之が笑いながら、お皿を萩子に差し出しました。
「・・・ほんと、甘過ぎなくて美味しいですね」
お皿を戻した後、貴之は無言で食べ続けます。
何か会話をと思った萩子は、婦警さんから聞いた先日の迷子の顛末を思い出しました。
「そうそう。この間の迷子の女の子、あの後すぐにお母さんが迎えに来たんですって」
「そうなんだ。それは良かった」
貴之がその時のことを思い出したのか、くすっと笑いました。
「あの女の子、ユイちゃんだったかな。可愛かったよね。大きなぬいぐるみ抱えてて」
「そ、そうですね」
「どこに行くのも一緒なんだろうね。僕も、車のおもちゃをよく持ち出してたなー。シュウはそういうの、なんかあった?」
「いえ、私は特に・・・」
「そうなんだ」
この話題が予想外に続いて、萩子はちょっと焦ります。
その女の子は、2ヶ月程前に悠希と一緒に歩いている時にすれ違った女の子でした。顔を覚えていたのか、交番に連れて行くまでにすっかり懐いてしまい、貴之に変に勘ぐられないかひやひやしたのを思い出します。母親の方には間違いなく覚えられたはずで、それもあって会うことをお断りしていたのでした。
紅茶を飲み終えた貴之が、萩子に問い掛けました。
「迷子のことって・・・、あの婦警さんにどこかで会ったの?」
「え、ええ。これをコンビニに買いに行った時にちょうど来られてて、婦警さんから声掛けてきたんです」
「婦警さんが、コンビニに?」
話題が変わり、萩子はほっとします。不審そうな顔をする貴之に、萩子は自分と同じように誤解していると思って笑顔を向けました。
夕食後、リビングでくつろぐ貴之の前に、萩子が抹茶のスイーツと紅茶を差し出します。
「はい。食後のデザートです」
スマートフォンを操作していた貴之が顔を上げました。
「ありがとう。これ、今日発売だったね。買ってきてくれたんだ」
「ええ。チョコのも、とても美味しかったですよ」
「そうなんだ。いただきます。・・・うん、抹茶の風味がいいね」
ひと口食べた後、萩子に顔を向けます。
「シュウも、ひと口食べる?」
「今日は甘いもの食べすぎてるんですけど・・・、じゃあひと口だけ」
「そのつもりで買ってきたんでしょ」
貴之が笑いながら、お皿を萩子に差し出しました。
「・・・ほんと、甘過ぎなくて美味しいですね」
お皿を戻した後、貴之は無言で食べ続けます。
何か会話をと思った萩子は、婦警さんから聞いた先日の迷子の顛末を思い出しました。
「そうそう。この間の迷子の女の子、あの後すぐにお母さんが迎えに来たんですって」
「そうなんだ。それは良かった」
貴之がその時のことを思い出したのか、くすっと笑いました。
「あの女の子、ユイちゃんだったかな。可愛かったよね。大きなぬいぐるみ抱えてて」
「そ、そうですね」
「どこに行くのも一緒なんだろうね。僕も、車のおもちゃをよく持ち出してたなー。シュウはそういうの、なんかあった?」
「いえ、私は特に・・・」
「そうなんだ」
この話題が予想外に続いて、萩子はちょっと焦ります。
その女の子は、2ヶ月程前に悠希と一緒に歩いている時にすれ違った女の子でした。顔を覚えていたのか、交番に連れて行くまでにすっかり懐いてしまい、貴之に変に勘ぐられないかひやひやしたのを思い出します。母親の方には間違いなく覚えられたはずで、それもあって会うことをお断りしていたのでした。
紅茶を飲み終えた貴之が、萩子に問い掛けました。
「迷子のことって・・・、あの婦警さんにどこかで会ったの?」
「え、ええ。これをコンビニに買いに行った時にちょうど来られてて、婦警さんから声掛けてきたんです」
「婦警さんが、コンビニに?」
話題が変わり、萩子はほっとします。不審そうな顔をする貴之に、萩子は自分と同じように誤解していると思って笑顔を向けました。

