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女性のための犯され短編集
第19章 旅先で出会った男に犯される

(仕方ないか…こういうのも旅の醍醐味?だよね)

 想像よりも口当たりはいいが…喉が熱く締まる。男は満足げに頷いた。

「夏の夜にはこれが効く」

 男は煙草を指で弾きながら言う。

 絵になる男だと思った。田舎くささは無いのに、都会の男には感じない野性味がある。

 彼女は曖昧に微笑み、二杯目、三杯目と勧められるままに飲み続けた。

 強い酒が知らぬ間に彼女の身体を蝕み、頭がぼうっとし始めた。


「んん……」


 夏の湿気が店内に漂い、彼女の意識がさらに薄れる。

 視界が滲み、身体が鉛のように重い。

 マスターが「そろそろ閉めるぞ」と言うので、彼女は慌てて立ち上がろうとしたが、足がもつれた。

「ホテルに……あ、タクシー呼べますか?」

 上擦った声で尋ねると、マスターは肩をすくめた。

「こんな時間じゃタクシーもねえよ。泊まるならあいつのとこしかねえな」

「あいつ……?」

 聞き返す彼女に、マスターは男を指さす。

 男は煙草を灰皿に押し付けた。

「俺の部屋は二階だ。泊めてやるよ」

 平然と言う男に胸騒ぎを感じたが、他に選択肢があるわけではない。

 躊躇していると、近付いた男に腕を掴まれた。体温が上がる。フラフラしている身体を男に支えられ、そのまま狭い階段を上がることになってしまった。

 汗ばんだ肌が男の腕に触れる。

「ひとりで歩けます」と彼女は呟いたが、声はほとんど出ていなかった。


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