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天狐あやかし秘譚
第43章 陰謀詭計(いんぼうきけい)

ソレが生臭い息を吐き、この世のものとは思えないような声で呻いた。あまりの悍ましさに、背筋が震えそうになる。この時、とっさに斐川の脳裏にひらめいたのは、黒い塊のような疱瘡神から、幾筋ものヘビのような触手が生え、ウネウネと自分の周りを這い回っている様子だった。
何が・・・起こっているの?
斐川は、手掌に力を込め、祈りに集中することで、己が内に湧き上がってくる嫌悪感、不安、恐怖を振り払おうとした。
しかし、ついに、触手の内で、自分の体に触れるものが出てきた。まずは膝頭、そして、足先、着物の中に、何かが入り込んできて、足に絡みつき、ズルズルと体を這い回っている。
気持ち悪い・・・っ!
次いで、喉にも絡みついてくる。それはまるでヘビが絡みつき、這い回っているような感じだった。ひやりと冷たく、ヌラヌラとしている。ヘビと違うのは、それが這い回った後にはまるでナメクジに這われたようにベッタリとした粘っこい汁がこびりつくことだった。
体中にあの臭いが刷り込まれていく。この頃にはあまりの臭気に鼻が効かなくなり、臭いとすら感じなくなっていたのが不幸中の幸いだ。しかし、濃厚な何かが立ち込め、息苦しい感覚だけは強くあった。
まだ・・・まだなのですか!?
高重様!!
斐川は祈る思いだった。早く儀式を終わらせてほしい・・・この気持ち悪さから解放されたい、そう願わずにはいられなかった。
いや!
下半身から這い上がってきたぬらぬらしたものが、腹を弄っている。臍をくすぐり、更に上に。更に上半身にも別の触手が伸び、首にぐるりと巻き付いて、ズルズルと這い回る。
そしてついに、
ぐぼごおおお
首から這い上がる二本の触手のうちの一本が、口に無理やりねじ入ってきた。
『ふーっ!ふっー!!』
なんとか吐き出そうとするが、それが叶うことはなかった。動くなと言われているので、手で掴んで引き抜くこともできない。なんとか鼻で息ができるので窒息することはないが、喉の奥まで入りこまれ、苦しくて涙と鼻汁が自然と溢れてくる。
な・・・何か・・流し込まれているっ!
何が・・・起こっているの?
斐川は、手掌に力を込め、祈りに集中することで、己が内に湧き上がってくる嫌悪感、不安、恐怖を振り払おうとした。
しかし、ついに、触手の内で、自分の体に触れるものが出てきた。まずは膝頭、そして、足先、着物の中に、何かが入り込んできて、足に絡みつき、ズルズルと体を這い回っている。
気持ち悪い・・・っ!
次いで、喉にも絡みついてくる。それはまるでヘビが絡みつき、這い回っているような感じだった。ひやりと冷たく、ヌラヌラとしている。ヘビと違うのは、それが這い回った後にはまるでナメクジに這われたようにベッタリとした粘っこい汁がこびりつくことだった。
体中にあの臭いが刷り込まれていく。この頃にはあまりの臭気に鼻が効かなくなり、臭いとすら感じなくなっていたのが不幸中の幸いだ。しかし、濃厚な何かが立ち込め、息苦しい感覚だけは強くあった。
まだ・・・まだなのですか!?
高重様!!
斐川は祈る思いだった。早く儀式を終わらせてほしい・・・この気持ち悪さから解放されたい、そう願わずにはいられなかった。
いや!
下半身から這い上がってきたぬらぬらしたものが、腹を弄っている。臍をくすぐり、更に上に。更に上半身にも別の触手が伸び、首にぐるりと巻き付いて、ズルズルと這い回る。
そしてついに、
ぐぼごおおお
首から這い上がる二本の触手のうちの一本が、口に無理やりねじ入ってきた。
『ふーっ!ふっー!!』
なんとか吐き出そうとするが、それが叶うことはなかった。動くなと言われているので、手で掴んで引き抜くこともできない。なんとか鼻で息ができるので窒息することはないが、喉の奥まで入りこまれ、苦しくて涙と鼻汁が自然と溢れてくる。
な・・・何か・・流し込まれているっ!

