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天狐あやかし秘譚
第26章 往古来今(おうこらいこん)
彼女は領巾を身につけた。
 ただでさえ美しい娘は比類なき美しさを手に入れた。
 望めば天から黄金が、地から銀が湧き出した。
 ありとあらゆるものの心を魅了する力を手に入れた。

しかし、若者の心だけは手に入れることができなかった。
わがままな娘の嫉妬心に恐れをなした若者は、優しい娘を連れて島から逃げ出そうとした。それを知ったわがままな娘は、彼らを追いかけ、叫んだ。

『なぜ私のものにならない!」

そして、領巾に願った。あの人を私の下へ!と。
領巾は一陣の風を巻き起こした。その結果、若者と優しい娘は風に巻き上げられ、来たのだ。娘の足元に。そう、遥か天より落下して、死んでしまったのだ。

引き潰された愛しい人の姿を見て、娘は自らの心の醜さを悔い、死を望んだ。

しかし、その瞬間、娘にとって、『死ぬこと』が一番の願望になってしまった。そう、領巾の力で、娘は決して死ぬことがなくなってしまったのだ。

これが浮内の主が企んだことであった。

死ねない体になった娘に対して、浮内の主は交わした約束の名のもとに、要求を突きつけた。
用意した家に入れ。そこから出るな。
そして、浮内の家が望むものを出し続けよ、と。

娘は、最も得たいと思う死を望みながら、そうできず、迷路のような家をさまようことになる。そして、浮内の者は、その娘をホシガリ様として祀り、約束の力で、彼女の持つ領巾の力を我がものとして繁栄を確かなものにしてきたのだ。

しかし、永遠に生きるとは言え、限界がある。ホシガリ様は周期的に理性を失い、凶暴性が増し、暴れることがあった。それを防ぐには、かつての願望を一部満たしてやるしかない。というわけで、浮内家では数十年に1度、『婿』として生贄を捧げ続けることになったのだ。
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