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天狐あやかし秘譚
第96章 純情可憐(じゅんじょうかれん)
『三つとや 皆様子供衆(しゅ)は
 楽遊(らくあそ)び 楽遊び
 穴一(あないち)こまどり 羽根をつく 羽根をつく』

・・・その角を曲がると、そこは縁側で、先ほどとは違う着物を着た女の子が座って足をブラブラとさせていた。それは、あの、いつも寂しそうにしていた女の子だった。

気まぐれだったのかもしれない。
それとも、なにかの必然だったのかもしれない。
もしかしたら、その子の目に映る寂しさに、何かしら共感するものがあったのかもしれない。

当時、私も誰にも言えない思いを抱えていたから。

『隣に座っても、いいですか?』

そんなふうに、声をかけていた。

「あれは、貴女だったのですね・・・土門・・・いや、杏里・・・」
だとすると、何某か運命だったのかもしれない。
眠る彼女の顔はこの上なく幸せそうだった。

きっと、私も今、幸せで満たされた顔をしているに違いない。

そんなふうに思いながら、眠った彼女の唇に、私はもう一度キスをした。
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