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天狐あやかし秘譚
第95章 実事求是 (じつじきゅうぜ)
☆☆☆
「わらしはね・・・あなたのそばにいりゅと・・・あんしんするのれす・・・」
突っ伏して、幸せそうな顔で寝息を立てている土門が不意に寝言のように言った。なにか良い夢を見ているのだろうか、ニコニコと笑っていた。私はその額にかかる髪の毛が気になって、少し手を伸ばしかけて、一瞬躊躇して引っ込める。
「うう・・・ん・・・ほうしょうまえさああん・・・」
むにゃむにゃ・・・そんなふうな寝言をまた聞いて、結局はまた手を伸ばしていた。ちょっと汗ばんで、額に張り付いた髪の毛を丁寧にとってやる。
本当に・・・あなたにはかないませんよ・・・
これまで付き合った男性は何人かいた。身体の関係もそれなりに。でも、こんなにも無邪気に、まっすぐに、私を求めてきた人など、覚えがなかった。
何度、突っぱねても、突っぱねても、めげずに絡んでくる。
まるで離れ得ない強烈な縁で結びつけられているかのような、そんな錯覚すら覚える。
ちらりと時計を見ると、そろそろ終電が出てしまう時刻だった。でも、この状態では一人ではとても帰せない。
はあ・・・
「さ・・・土門様。帰りましょう、ね?」
よっこらしょと彼女の身体を起こす。ぐてーっと力が抜けており、火照った身体はとても重たかった。
「しっかりしてください?タクシーを呼びますか?」
「んにゃ?」
「ほら、立ってください・・・帰りますよ!」
ずるずるとバーチェアから引き下ろすが、足がふらついて全く腰が立たない。しょうがないので、よっこらしょっとおんぶする。バーテンが大丈夫ですかと苦笑して見ていたので、片手を上げて大丈夫だとアピールをした。
実際、土門は驚くほど軽かった。
この小さな体で、あのエネルギー・・・一体どこから湧いて出て来るのか、不思議だな・・・
そんな風に思っていた。
「わらしはね・・・あなたのそばにいりゅと・・・あんしんするのれす・・・」
突っ伏して、幸せそうな顔で寝息を立てている土門が不意に寝言のように言った。なにか良い夢を見ているのだろうか、ニコニコと笑っていた。私はその額にかかる髪の毛が気になって、少し手を伸ばしかけて、一瞬躊躇して引っ込める。
「うう・・・ん・・・ほうしょうまえさああん・・・」
むにゃむにゃ・・・そんなふうな寝言をまた聞いて、結局はまた手を伸ばしていた。ちょっと汗ばんで、額に張り付いた髪の毛を丁寧にとってやる。
本当に・・・あなたにはかないませんよ・・・
これまで付き合った男性は何人かいた。身体の関係もそれなりに。でも、こんなにも無邪気に、まっすぐに、私を求めてきた人など、覚えがなかった。
何度、突っぱねても、突っぱねても、めげずに絡んでくる。
まるで離れ得ない強烈な縁で結びつけられているかのような、そんな錯覚すら覚える。
ちらりと時計を見ると、そろそろ終電が出てしまう時刻だった。でも、この状態では一人ではとても帰せない。
はあ・・・
「さ・・・土門様。帰りましょう、ね?」
よっこらしょと彼女の身体を起こす。ぐてーっと力が抜けており、火照った身体はとても重たかった。
「しっかりしてください?タクシーを呼びますか?」
「んにゃ?」
「ほら、立ってください・・・帰りますよ!」
ずるずるとバーチェアから引き下ろすが、足がふらついて全く腰が立たない。しょうがないので、よっこらしょっとおんぶする。バーテンが大丈夫ですかと苦笑して見ていたので、片手を上げて大丈夫だとアピールをした。
実際、土門は驚くほど軽かった。
この小さな体で、あのエネルギー・・・一体どこから湧いて出て来るのか、不思議だな・・・
そんな風に思っていた。

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