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天狐あやかし秘譚
第95章 実事求是 (じつじきゅうぜ)
クリーンな政治家を演出するために、彼はありとあらゆるムリをしていたのだ。そのため、溜め込まれたストレスが彼の心を荒ませ、家族との心の距離は離れていった。更に、抱え込むストレスを解放するために、彼は時折、単身で東京に出てきては、変装して夜の街で女を買っていたというわけだった。

昨日、私と宝生前が見たのは、その『ストレス解消』の一場面だった。あとで調べたところによると、例のデリヘル嬢はアナル開発やSM調教などを専門とする、いわゆるM性感を売りにしている店の嬢だった。そんな女と、政治生命を危険に晒すような逢瀬を繰り返す・・・それが彼にとっての『ストレス解消法』だったのである。

いつかばれるかもしれない。何もかも失うかもしれない。そう思いながらもやめられなかったのだ。こんなことをしている時点で、彼の心はすでに疲弊しきって、悲鳴を上げていたのだった。

元来、彼は政治家になどなりたくなかったのである。大学は工学系を出たので技術者を目指していたのだ。しかし、学生結婚で妻を娶り、少しでも妻に良い暮らしをさせたいと、父親の地盤を引き継ぐことを決意したわけだ。

もともとは機械いじりをしたりパソコンでコードを書いたりするのが好きだった。そうやって自分の掌に収まるようなことに心をかけて手間を掛けて・・・そんなふうにして人に喜んで貰える仕事がしたいと思っていたのだ。

政治家になった当初は、『これも人のためになる』と自分に言い聞かせていたみたいだったが、そのクリーンなイメージと甘いマスクが集票に使えると考えられ、大物政治家とのコネクションができ始めてから全てが変わってきた。自分の心にもないことを講演会で言って回らねばならないことも増えたし、違法スレスレの企業献金などの受取もすることを求められた。苦しんだ彼が出した結論は『千遥と和葉のため』だったのだ。

大物議員とのコネができて、出世の道筋も見えた。しかし、そこに待ち受けていたあまりのプレッシャーに彼の心は耐えきれなくなっていたのだ。

そして、その苦しみを彼は、誰にも言えず抱え込んでいたのだ。こんな、変態的な行為・・・妻になど絶対に言えない。そう思っていた。
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