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天狐あやかし秘譚
第93章 【第18話:菊理媛】先用後利(せんようこうり)
衣裳とは、衣(ころも)と裳(も)ということである。『衣』とは上半身に着る、前合わせの筒袖(つつそで)の上着のことであり、『裳』とは下半身に巻きつけるように着用する、赤いスカート状の服である。要は日本書紀とか古事記とかに出てくる女の神様が着ている服、と言えばイメージが付くだろうか。

そんな服を着て、髪には金の額飾りをつけている幼女は、明らかにこの世の普通の存在ではなかった。よく見ても特に邪気のようなものは感じられない。むしろ清々しい雰囲気すら感じる。先程まで全く感知できなかったのに、急に現れたところを見ると・・・。

神・・・ということでしょうか?

これは異なこともあるものだ、と私はガン見していると思われない程度にチラチラとそちらを伺ってみた。どうやら幼女神は、男女にそれぞれに何かを必死に語りかけているようだった。

『そ、そんな事言わないで・・・』
『もう少し優しい言い方しよう・・・ね?』
『ああっ!あなたもお、落ち着いて・・・落ち着こう?ね?』

仲裁しようとしているのでしょうか?

ところが、幼女神の仲裁にも関わらず、二人の間にはどんどんと険悪なムードが漂ってくる。しまいには、女の方は雨がザーザー降っている中、『私、帰る!』『もう二度と連絡してこないでっ!』などと言い捨てて外に出ようとし始めた。

その姿を見て、幼女神はべそをかき始めてしまった。

『えっぐ・・・えっぐ・・・そ・・・しょんなこと・・・だめ、言っちゃダメだよぉ・・・だって、だって、あなた、まだ好きなんでしょぉ・・・』

裾で涙を拭いながら、必死で女を止めようとするが、そこはそれ、現世に物理的な影響を及ぼすことができにくい『神』だ。女は制止されていることにすら気づかないで、外に出ようとする。

・・・うーん・・・

悩むこと0.5秒。
しかし、あまりにも幼女神が気の毒だったのと、女の目にも涙が浮かんでいるのが見えたのが決め手で、私は声を上げていた。

「ちょっと!ちょっとお待ちを!!」

この時、和田倉の休憩所には私達3人しかいなかった。男はあからさまに不快そうな顔をし、女はきょとんとしている。

「まあまあ・・・ね?何があったかわかりませんが・・・それほど早くに結論出さないで・・・も少し話したらと思うのですよ?」
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