この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第91章 顧復之恩(こふくのおん)
☆☆☆
「上がりまーす!」

日暮が、そそくさと荷物をまとめて占部の事務室から退室する。17時30分、陰陽寮の正規の勤務が終わるので、別に責められることではないのだが、占部衆所属の陰陽師である廣金は、なんとなくそれを不自然に感じていた。

「最近、日暮さん、毎日上がるの早いですね・・・」

ポツリとそう言うと、上席に座っていた土門がニヤニヤと笑っているのに気づく。

「土門様?なにか心当たりが?」
「ふっふっふ・・・やーっと、うちの朴念仁たちも気づいたのでしょうか・・・。あれはですね、押しかけ女房なのです・・・ふふふふふ」

不敵に笑う土門の目はいかにも愉しそうだった。

「押しかけ?・・・え?何処かに行ってるってことですか?」

問いかける廣金に、土門はただ、ふふふふふふ・・・と笑うのみで、詳細は教えてはくれなかった。そんな土門の様子に、なんとなく不気味なものを感じた廣金は、それ以上この話題に触れるのをやめることにした。

土門は土門で、そんな廣金の視線など全く意に介さず、日暮が去っていった扉を見ながら、顔がニヤけるのを止める事ができないでいた。

知っている・・・知ってるのですよぉ・・・
御九里は今、手が使えません・・・一人暮らしの彼はさぞやお困りでしょう。
あなたはそれをご存知ですよね?
行ってあげたい、お料理、お洗濯、包帯を替えてあげたり、お風呂で頭を洗って差し上げたり・・・
下の世話・・・はいらないにしても・・・

そして、そして!ええ、ええ、そうですとも!・・・そんなことしてたら、仲良くなっちゃうのは目に見えているのです・・・ふふふふふ・・・

もしかしたら、もしかして?もう、夜の生活のお世話なんかもしちゃったりして♡

ふふふふふ・・・

ほくそ笑む土門、遠巻きにそれを見る廣金。
衆の事務室には他にも冴守や設楽なども残っているが、彼らはこのことにはあまり興味がないようである。

外はどんよりとした梅雨空であるけれども、どうやら土門の頭の中にだけは、ピンク色の世界が広がっているようだった。
/1348ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ