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天狐あやかし秘譚
第90章 末路窮途(まつろきゅうと)
☆☆☆
「ん?お前、なんでそんな端っこにおんねん」
訓練室の端っこでうずくまっていた俺を同期の奴らは遠巻きにして見ていた。そこに声をかけてきたのは、俺らより4つほど上、まだ13歳だというのに、すでに陰陽師の試験に合格していた糸目の男だった。

「訓練せーへんの?」
嫌に馴れ馴れしい口調。ぷいとそっぽを向いた俺の目線に合わせるようにしゃがみ込み、こっちの顔を覗き込んでくる。
「なんや、お前、この前の子ぉか」

そう、俺は、『母』が変貌し、虐殺と凌辱の限りを尽くしたあの廃工場の唯一の生き残りとして、陰陽寮というところに保護されていた。最初は記憶処理をされ児童養護施設に送り込まれる予定だったようだが、呪力測定の結果、『素質』があると判断され、試験的に陰陽師の訓練過程である『習得生寮』に編入されることになった・・・と聞いた。

別に、俺としては頼んでもいないことだった。

なので、他の『同期』と呼ばれる子たちが陰陽師と呼ばれる教員に師事し、その技を体得しようと熱心に訓練しているのを横目に、こうして訓練室の端に座り込んでいるのが常だった。

「お前、確か、御九里・・・やったな?」
馴れ馴れしく呼ぶな、そう思った。なので、俺は更にブスくれた顔をして黙り込んでいた。
「で?下の名は?」

下の名・・・つまり名前だ。
その言葉を聞いた時、俺は頭にカッと血が上る思いがした。
バシン!と糸目の男が差し伸べた手を振り払う。

「うるせ!あっち行け」
糸目は、俺の態度が気に入らなかったのか、少しだけ目を見開いた。
「なんやなあ・・・難儀なガキやの・・・」
それから、振り返って、皆を指導していた陰陽師に向かって言った。
「おーい!設楽はん・・・この子ぉ、俺預かってええか?」
設楽と呼ばれた男はそれを了承した。俺の知らないところで話が進んでいく。何もかもが俺とは関係のないところで決まっていく。

「ええて・・・んじゃ、俺が今日からお前ぇのせんせぇっちゅうこっちゃ」

糸目の男は土御門と名乗った。

土御門加苅(つちみかどかがり)

周囲の大人たちの話だと、いわゆる『名家』と言われるところのお坊ちゃん、らしい。
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