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天狐あやかし秘譚
第90章 末路窮途(まつろきゅうと)
そんなふうに当たりをつけた。それは、本来なら丞レベルの術者が対応するべきクラスの妖魔であり、属レベルの術者がひとりで相手にするのは手に余る力を有していることを意味している。

「はあ・・・」

息を吐き、ぐき、っと首を鳴らすように回している、異形と成り果てた十和子を見て、御九里は歯噛みする。戦いの中で徐々にその妖力が解放されてきたのか、十和子の身体は先程よりも一回り大きくなっていた。そして、最初は抜けるように白かった肌は金属が錆びたような赤褐色にくすみ、花を思わせる体臭は獣の放つそれに変わっていっていた。

人鬼

人が何らかの理由で変質し、人を喰らう悪鬼になる現象を、昔の人はこう呼んだ。長く生きれば生きるほど、人を食えば食うほどにその力は増大する。目の前の鬼は、相当数の人を食っていると思われた。

そこまで、堕ちてるのかよ・・・

ギリリと奥歯を噛み締め、刀を握る手に力を込める。腹の痛みは次第に軽減してきている。ダメージはあるが、まだいける・・・。

御九里は顔を上げ、ギンと十和子を睨みつける。胸に下げた木札を握り、呪言を唱える。たちまちの内に、全身の筋肉が一段階パンプアップし、その能力を高める。これは、一時的に全身の筋力の増強を図る「肝」を強化する木気の術式。

『木気・肝兪活血』

地面を蹴り、再び十和子に斬りかかる。十和子はその裂けた口に笑みを浮かべながら、それを両の手でいなしていた。

・・・一体あれから何人の『男』をああして喰らったんだ?

左から胴を払いのけるように太刀を返すと、十和子はそれを跳躍して避ける。そのまま後ろにバク転の要領で身を躱し、今度は太い木をその強靭な脚力で蹴りつけ、御九里に突っ込んでくる。

・・・どうして、鬼になんかなったんだよ!

御九里は体をひねって、十和子の右手の爪をかろうじて躱す。その瞬間、十和子の目がぎろりと御九里の方を向いた。

・・・他にやりようはなかったのかよ・・・

十和子は着地と同時に右足で強く大地を蹴り、左足の蹴りを放つ。至近距離からの切り返しに御九里の防御が追いつかない。なんとかスウェイバックで躱そうとするが、先ほどダメージを受けた腹に、再び十和子の強烈な蹴りを受けてしまう。

「ぐあっ・・・つぅう!!」
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