この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第89章 貪愛瞋憎(どんないしんぞう)
☆☆☆
「手がかりって?」
ここまですごい勢いで走ってきたのだろう。田久保は屋上に倒れ込み、顔を真赤にしてはあ、はあと肩で息をしていた。
「はあ・・・えっと・・・ですね・・・はあ、はあ・・・ふう・・」
なかなか言葉にならない。田久保と日暮の様子に気づいた九条も集まってくる。
「なにか分かったんですか?」
「九条さんの方は?」
「いえ、それがさっぱり・・・かなり広範囲に虱潰しに探しているんで、普通に移動しているなら見つかるはず・・・これは建物の中に閉じこもっているんじゃないかって気がするんですよね・・・」
それは、日暮と同じ結論だった。
日暮に手助けされ、田久保が上半身を起こす。やっと人心地ついたようだった。
「はあ・・・はあ・・・えっと、えっとですね。左前様が御九里さんを最後に見たのは会議の時だったって言ってたでしょう?その時見ていた事件資料から、こちら仙台に当たりをつけたんですよね?・・・だから私、まずは県警に行ってみたんです。それで、分かったんですけど、御九里さんは、今日の午前中、県警を訪ねていました・・・どうやら呪殺班の警部さんと面会をしたみたいです」
「良かった・・・少なくとも午前中は無事だったんですね!」
日暮がホッとしたような表情を浮かべる。
「それで、その警部さんのお話では、その後も、どうやらどこかに聞き込みに行くような素振りだったとか」
「一体御九里は何をしたいんだ?」
「多分・・・調査をしているんだと思います。」
九条の疑問に田久保が答える。
「会議で配られた資料・・・仙台で起きたラブホテルでの殺人事件の?一体何故?」
日暮が口元に手をおいて考え込む素振りを見せる。明らかに御九里の行動は『興味がある』という範疇を超えている。
「はい・・・御九里さんは、県警ではこの地域で起きている過去の犯罪・・・特に男性の行方不明事件についても調査をしていたみたいです・・・」
「そもそも、そのラブホテルの殺人事件って犯人捕まったの?」
「いいえ、まだです。」
「だとしたら、その犯人を捕まえようとしている・・・?」
うーん・・・と日暮は腕組みをして目を瞑る。
「なぜ、行方不明事件を?殺人事件ではなく・・・?なぜ?どうして?」
「手がかりって?」
ここまですごい勢いで走ってきたのだろう。田久保は屋上に倒れ込み、顔を真赤にしてはあ、はあと肩で息をしていた。
「はあ・・・えっと・・・ですね・・・はあ、はあ・・・ふう・・」
なかなか言葉にならない。田久保と日暮の様子に気づいた九条も集まってくる。
「なにか分かったんですか?」
「九条さんの方は?」
「いえ、それがさっぱり・・・かなり広範囲に虱潰しに探しているんで、普通に移動しているなら見つかるはず・・・これは建物の中に閉じこもっているんじゃないかって気がするんですよね・・・」
それは、日暮と同じ結論だった。
日暮に手助けされ、田久保が上半身を起こす。やっと人心地ついたようだった。
「はあ・・・はあ・・・えっと、えっとですね。左前様が御九里さんを最後に見たのは会議の時だったって言ってたでしょう?その時見ていた事件資料から、こちら仙台に当たりをつけたんですよね?・・・だから私、まずは県警に行ってみたんです。それで、分かったんですけど、御九里さんは、今日の午前中、県警を訪ねていました・・・どうやら呪殺班の警部さんと面会をしたみたいです」
「良かった・・・少なくとも午前中は無事だったんですね!」
日暮がホッとしたような表情を浮かべる。
「それで、その警部さんのお話では、その後も、どうやらどこかに聞き込みに行くような素振りだったとか」
「一体御九里は何をしたいんだ?」
「多分・・・調査をしているんだと思います。」
九条の疑問に田久保が答える。
「会議で配られた資料・・・仙台で起きたラブホテルでの殺人事件の?一体何故?」
日暮が口元に手をおいて考え込む素振りを見せる。明らかに御九里の行動は『興味がある』という範疇を超えている。
「はい・・・御九里さんは、県警ではこの地域で起きている過去の犯罪・・・特に男性の行方不明事件についても調査をしていたみたいです・・・」
「そもそも、そのラブホテルの殺人事件って犯人捕まったの?」
「いいえ、まだです。」
「だとしたら、その犯人を捕まえようとしている・・・?」
うーん・・・と日暮は腕組みをして目を瞑る。
「なぜ、行方不明事件を?殺人事件ではなく・・・?なぜ?どうして?」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


